異世界転生したらフロムげーみたいな世界だった。
目を覚ますと、俺は薄暗い石床に寝かされていた。
天井は高く、壁は全部ヒビだらけ。BGMは低音で「ゴォォ…」って鳴ってる。
……嫌な予感しかしない。
立ち上がった瞬間、画面の隅に文字が浮かんだ。
《YOU DIED(予定)》
予定て。
まだ何もしてないのに死亡予約入ってるの初めてなんだが。
手元を見ると、装備は
・折れかけの剣
・説明文がやたら長い盾
・意味深な鍵(どこで使うかは不明)
完全にフロムだ。
異世界なのに親切心が一切ない。
とりあえず通路を進む。
五歩歩いたら床が崩れた。
回避したら後ろから矢。
矢を避けたら前からでかい壺。
壺、殴ったら中から敵出てきた。
「壺は割るなって習わなかったか?」
知らねぇよ。
前世は会社員だぞ。壺に人生狂わされたことないわ。
必死に転がりながら剣を振る。
敵は倒れたが、俺のHPはミリ。
そこに表示される親切設計。
《回復アイテムは有限です》
知ってる!
だから怖いんだよこの世界!!
休憩ポイントっぽい焚き火を見つけて座ると、突然レベルアップ音。
能力選択画面が出た。
筋力
技量
理力
信仰
運
運……?
説明文を見る。
「世界に理不尽を受け流す力」
絶対これだろ。
この世界で必要なの。
全振りした瞬間、背後からボス登場。
デカい。
名前が長い。
肩書き多すぎ。
《嘆きの〜混沌の〜なんとか王》
もう覚える気ない。
ボスが剣を振り上げた瞬間、俺は転んだ。
完全に事故。
……だが、その攻撃は俺の頭上を空振りした。
「え?」
ボス、足を滑らせて自分で落下。
HPゲージがゴリッと減る。
運、強すぎる。
その後も
・敵が勝手に落下
・罠が自爆
・ボスが柱に頭ぶつけてスタン
俺、何もしてないのに勝っていく。
最後、世界を支配するラスボスが現れた。
「貴様、何者だ」
俺は正直に答えた。
「運だけで生き残ってる一般人です」
ラスボス、沈黙。
そして一言。
「……最も恐ろしいタイプだな」
《ラスボスは心が折れた》
エンディングが流れた。
異世界転生。
剣も魔法も使えない。
でも運だけでフロム世界をクリアした男として、
俺は今日も焚き火の前で座っている。
次の周回?
……やらない。
心が持たない。
