第三十話『開封の儀』

夜。

テーブルの上。

ポケモンカードの箱。

神々しい。

俺は深呼吸する。

「来た」

まるさんがスマホ構える。

「記録係」

「やめろ」

エルちゃんはテーブル中央

完全監視モード。

「にゃ」

「中央政権立ち合い」

俺は箱を持つ。

震える。

「まずシュリンク確認」

「プロだ」

エルちゃん、ぺち。

「やめろ」

「”早く開けろ”だな」

俺はハサミを入れる。

シュッ。

まるさん、拍手。

「始まった!」

エルちゃん、袋に顔突っ込む

「おい」

「にゃ」

「”検品”」

俺はパックを並べる。

「儀式的に左から」

「運ゲーなのに儀式」

「黙れ」

パック開封

ぺり。

カード確認。

「……」

「どう?」

「普通」

二パック目。

ぺり。

「……」

「どう?」

「普通」

三パック目。

ぺり。

沈黙。

まるさん覗く。

「どう?」

「普通」

エルちゃん、俺の手をカプ。

「痛い!」

「”盛り上がれ”だな」

4パック目。

5パック目。

6パック目。

結果。

全部普通。

「……」

まるさん言う。

「まだ半分」

「そう」

俺、深呼吸。

後半戦。

7パック目。

ぺり。

「普通」

8パック目。

ぺり。

「普通」

9パック目。

ぺり。

「普通」

10パック目。

沈黙。

まるさんが小さく言う。

「もしかして」

俺も小さく言う。

「やめろ」

最後。

ぺり。

カードめくる。

普通。

完全沈黙。

まるさん、床を見る。

「……」

俺、天井を見る。

「……」

エルちゃん、カードの山に座る。

「にゃ」

「慰めか」

まるさんが言う。

「確率的には普通」

「今それ言う?」

エルちゃん、カードをぺち。

散乱。

「痛い!」

「”楽しめ”だな」

俺はカードを見る。

「SRゼロ」

まるさんがぽつり。

「大爆死」

俺、笑う。

「なんか逆にすがすがしい」

まるさんも笑う。

「実況するほどじゃなかったね」

えるちゃん、カードの上で丸くなる。

完全占拠。

俺は言う。

「次の弾で取り返す」

まるさん即答。

「沼」

エルちゃん、俺をカプ。

「痛い!」

「”懲りろ”だな」

カードは普通。

テンションは崩壊。

でも、

中央政権は安定。

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