第二十九話『王様と抽選戦争』
朝。
俺はスマホを握りしめている。
「今日だ」
まるさんがコーヒー飲みながら言う。
「ポケカ?」
「抽選発表」
エルちゃんはベッドど真ん中。
だが空気を察している。
「にゃ」
「今日は国家的イベント」
俺はアプリを開く。
読み込み中。
長い。
長すぎる。
まるさんが横から覗く。
「当たると思う?」
「五分」
「絶対盛った」
エルちゃんがスマホに前足ぺち。
「やめろ!」
画面揺れる。
読み込み継続。
俺の心拍数上昇。
「頼む」
まるさん、急に手を合わせる。
「当たったら一箱ちょうだい」
「先に言うな」
エルちゃん、俺の手をカプ。
「痛い!」
「“集中しろ”だな」
画面が変わる。
結果表示。
一瞬、空白。
そして――
「落選」
沈黙。
「……」
「……」
エルちゃんが鳴く。
「にゃ」
「慰めか?」
まるさんが俺の肩を叩く。
「どんまい」
「軽い」
「だって毎回外してるじゃん」
「言うな」
エルちゃん、今度はまるさんをカプ。
「いった!」
「“煽るな”だな」
俺はソファに沈む。
「運がない」
まるさんが言う。
「もう一個応募してたよね?」
俺、止まる。
「……」
「言ってなかった?」
「忘れてた」
エルちゃん、耳ぴく。
俺、別アプリを開く。
読み込み。
全員静止。
まるさん、なぜか正座。
エルちゃん、スマホ凝視。
表示。
「当選」
沈黙。
まるさん、固まる。
俺、固まる。
エルちゃん、ぺち。
「にゃ!」
「勝った!」
まるさん絶叫。
「革命だ!」
俺立ち上がる。
「中央政権、祝砲!」
エルちゃん、なぜかダッシュ。
テーブルにジャンプ。
コップ倒れる。
「水!」
「縁起悪い!」
俺、画面確認。
「本当に当たってる」
まるさん、俺の腕つかむ。
「何弾!?」
「最新弾」
「やば!」
エルちゃん、俺の指をカプ。
「痛い!」
「“浮かれるな”だな」
俺は深呼吸。
「冷静にいこう」
まるさん即答。
「無理」
エルちゃん、ど真ん中に戻る。
完全王者。
俺は言う。
「開封は実況する」
「動画撮る?」
「やめろ」
エルちゃんが最後に鳴く。
「にゃ」
「“俺の分ある?”だな」
「ない」
即カプ。
「だからなんで俺」
抽選戦争、
勝率五分の奇跡。
中央政権、
本日テンション高め。
