第二十七話『中央政権クーデター』
夜。
異変は静かに始まった。
「たつくん」
「なに」
「リモコン知らない?」
俺はテーブルを見る。
ない。
ソファを見る。
ない。
床を見る。
ない。
エルちゃんを見る。
ど真ん中。
目が合う。
「まさか」
エルちゃん、ゆっくり立ち上がる。
そして――
ベッドの下へ消える。
「怪しい」
まるさん、腹ばいで覗く。
「あ」
「なに」
「ある」
俺も覗く。
そこには、
リモコン3本。
俺のイヤホン。
まるさんの髪ゴム。
なぜかスプーン。
「隠し財産」
エルちゃん、奥で座ってる。
完全ボス。
「にゃ」
「証拠隠滅中だな」
まるさん、手を伸ばす。
エルちゃん、シャー。
「うわっ」
「武力行使」
俺が別角度から侵入。
リモコン奪還。
その瞬間。
エルちゃん、俺の手をカプ。
「痛い!」
まるさん爆笑。
「クーデターだ!」
俺は立ち上がる。
「中央政権、物資横領発覚」
エルちゃん、ベッドに飛び乗る。
そして。
ど真ん中着地。
勝利ポーズ。
まるさん、指差す。
「首謀者」
俺、宣言。
「財産凍結」
テレビの電源OFF。
エルちゃん、即ぺち。
電源ON。
「高度な政治戦」
まるさんが急に言う。
「たつくん、あれもない」
「なに」
「スマホスタンド」
沈黙。
エルちゃんを見る。
目を逸らす。
「完全黒」
ベッドを持ち上げる。
下から大量出土。
- リモコン
- 髪ゴム
- イヤホン
- ボールペン
- なぜかプリンのフタ
「遺跡発掘」
まるさん笑い崩壊。
「エル文明」
エルちゃん、俺の足をカプ。
「痛い!」
「“触るな”だな」
俺は言う。
「今夜、全面没収」
エルちゃん、ベッド中央に伏せる。
動かない。
絶対動かない。
「座り込み抗議」
まるさんが囁く。
「機嫌取る?」
俺はフード袋を持つ。
カサッ。
エルちゃん、即起立。
「政権崩壊」
フードを皿に出す。
エルちゃん、即降伏。
もぐもぐ。
まるさん、言う。
「チョロい」
俺がぽつり。
「結局、食料で支配できる」
エルちゃん、食べ終わって俺をカプ。
「痛い!」
「“舐めるな”だな」
テレビはついている。
リモコンは回収済み。
ベッド中央は再び確保。
俺はソファに沈む。
「また隠すだろ」
「絶対隠すね」
エルちゃん、喉を鳴らす。
完全勝者。
中央政権、
今日も安定。
