『地雷系、覚悟が重すぎる』

 あたし、別に重い女じゃないと思うんだよね。
 ただ――覚悟があるだけで。

「ねえ」

 彼氏がスマホを見たまま返事をしない。
 その時点で、あたしの中の武士スイッチが入る。

「……返事は?」

「今ちょっと忙し――」

「“忙しい”は理由にならないよ」

 これは感情論じゃない。
 礼を欠いただけだ。

 あたしは地雷系。
 でもそれは、気分で爆発するって意味じゃない。

 裏切られたら斬る覚悟があるって意味。

「昨日さ、“ずっと一緒だよ”って言ったよね?」

「言ったけど……」

「じゃあ今日も一緒じゃないと、筋が通らないでしょ」

 論理的だ。

「他の女と話した?」

「いや、職場の同僚で――」

「女だよね」

「……うん」

 あたしは静かに頷く。

「不義」

「重くない!?」

「武士道的には死罪だよ?」

 彼は混乱している。
 かわいそうだけど、覚悟が足りない

「あたしね、依存してるわけじゃないの」

 涙が出る。でもこれは演出じゃない。

「“一度選んだものを、最後まで守る”って決めてるだけ」

 あたしはLINEを開く。
 彼とのトーク履歴は、もう遺書みたいな重さだ。

「だからさ」

 にっこり笑う。

「別れるなら、ちゃんと切腹レベルの理由持ってきて?」

「なんで俺が!?」

「だってあたしは、命懸けで好きなんだもん

 沈黙。

 数秒後、彼はスマホを伏せた。

「……ごめん」

「よろしい」

 武士道、成立。

 ちなみにその夜、
 彼の友達からこう言われた。

「お前の彼女さ……メンヘラっていうか、じゃね?」

 あたしは今日も地雷を踏ませない。
 踏ませる前に、覚悟を問うから。

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