『●●のはずだったのに』

今日は、平和な一日になるはずだった。
この時点でフラグが立っている気がするが、気にしない。

朝は順調だった。
目覚ましは一発で止めた。えらい。
コーヒーもこぼしていない。人類として成長している。
今日は何も起きないはずだ。

……スマホを見る。
通知、ゼロ。
平和すぎて逆に怖い。
でも大丈夫。今日は何も起きないはずだから。

家を出る。
電車は時間通り来るはずだった。
「遅延:人身事故」
はい出た、“はずだった”選手権・優勝候補。

でもこれは私の責任ではない。
だって、来るはずだったんだから。
世界が約束を破っただけだ。

会社に着く。
今日は静かに仕事するはずだった。
上司「ちょっといい?」
全然よくない。
ちょっとじゃ済まないやつだ。

会議は短く終わるはずだった。
なぜか「そもそも論」が始まる。
誰だ。
そもそも論を持ち出したやつ。
それ、今日やる話じゃないはずだろ。

昼休み。
ゆっくりご飯を食べるはずだった。
ラーメンの汁が跳ねる。
白シャツ、死亡。
でもこれは事故だ。
だって、跳ねないはずだった。

午後。
集中して作業するはずだった。
気づいたら関係ないタブが八つ開いている。
なぜだ。
私の意志はどこへ行った。
集中するはずだっただろ。

定時。
まっすぐ帰るはずだった。
「急ぎでお願い」
急ぎって言葉、だいたい急がなくていいはずなのに。

夜。
布団に入る。
今日はまあまあちゃんと生きたはずだった。
振り返ると、
「はずだった」でできた一日だった。

でも思う。
「はず」があるから、人は生きていける。
失敗しても、
「いや、本来は上手くいくはずだったし」で心が折れずに済む。

明日こそ、完璧な一日になるはずだ。
この台詞を何回言ったかは、
数えない方が幸せなはずだ。

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