「対戦台」
駅前のゲームセンターに入る。
昼間でも、照明は変わらない。
弟と並んで席に座る。
向かい合うのではなく、横に並ぶ。
画面に機体が映る。
色と型番だけで、どれを選んだか分かる。
操作は特別なものではない。
レバーを倒し、ボタンを押す。
それだけの動きが、ずっと続く。
音が大きく、会話は途切れがちになる。
言葉は要らない。
画面の中で距離が詰まり、離れる。
攻撃が当たり、外れる。
勝敗は、どこかで決まる。
一戦が終わり、席を立つ。
次の人がすぐに座る。
外に出ると、夕方の光があった。
さっきまで見ていた色とは違う。
帰り道で、さっきの操作を思い出す。
同じ動きを、何度も繰り返していた。
それだけの時間だった。
