第二十一話『まる式ダイエット理論』
夜。
テーブルにホワイトボード。
なぜか。
「なにそれ」
俺は聞く。
まるさん、真剣な顔。
「プレゼンする」
「何を」
「ダイエット計画」
エルちゃんはベッドど真ん中。
だが視線はホワイトボード。
嫌な予感。
まるさん、ペンを持つ。
「まず現状」
丸を書いて「わたし」と書く。
「自己申告制?」
「体感重い」
「数値は」
「見ない」
エルちゃんが降りてくる。
くんくん。
「にゃ」
「データ不足って言ってる」
まるさん無視。
「目標」
矢印。
「−5kg(2週間)」
「無理」
即答。
エルちゃんが俺をカプ。
「なんで俺」
「“否定早い”だな」
まるさん続ける。
「方法その①」
大きく書く。
『夜は水』
「終わった」
「なんで!?」
「倒れる」
エルちゃんがホワイトボードをぺち。
ガタッ。
「王様も反対」
まるさんムキになる。
「じゃあその②」
『毎日10km走る』
沈黙。
「いつ」
「朝」
「起きられないだろ」
「気合い」
エルちゃんが足元をカプ。
「いった!」
「“寝る時間考えろ”だな」
まるさん、ペンを振り回す。
「その③!」
『甘いもの禁止』
俺とエルちゃん、同時に止まる。
「……」
エルちゃん、低い声。
「にゃー」
「中央政権が拒否」
俺、冷静。
「プリンは」
「…例外」
「ほら」
エルちゃんが俺をカプ。
「なんで俺」
「“揚げ足取るな”だな」
まるさん、腕組み。
「じゃあたつくんはどう思うの」
「現実的に言うと」
エルちゃんが即カプ。
「痛い」
「“正論禁止”」
俺、ため息。
「運動少し増やすくらいでいい」
「地味」
「続く」
エルちゃん、ホワイトボードの前に座る。
完全に中央。
「にゃ」
「王様案は?」
「寝てるだけ」
まるさん、崩れる。
「だめじゃん」
「だめじゃない」
俺は言う。
「今のままで別に問題ない」
少し間。
まるさん、ちょっと静か。
「でもさ」
「うん」
「なんかやらなきゃって思う日ある」
エルちゃんがまるさんの足に軽くカプ。
「いった」
「“無理するな”だな」
ホワイトボードが倒れる。
ガタン。
沈黙。
まるさん、笑い出す。
「プレゼン失敗」
「資料不備」
エルちゃん、ど真ん中に戻る。
完全勝者。
俺は言う。
「とりあえず今日はプリン食うか」
「ダイエットは?」
「明日から」
エルちゃん、俺をカプ。
「痛い」
「“学習しない”だな」
夜は静か。
ホワイトボードは床。
計画は消えた。
でも、
ど真ん中は変わらない。
