第十話『ごはん三分前戦争』
夕方。
俺はまだ仕事中。
ログ監視中。
背後から気配。
振り向く。
エルちゃん。
じっと見ている。
時計を見る。
17:57
「まだ三分ある」
「にゃー」
低め。
「正確だな」
フードの時間は18:00。
エルちゃん、キーボードの上に乗る。
「やめろ」
enter連打。
「ログ送信すな」
「にゃ」
「今のは“早くしろ”だな」
まるが起きてくる。
「なに騒いでるの?」
「王様が前倒し要求」
まる、時計見る。
「まだ三分あるよ〜」
エルちゃん、即座にフード棚前へ移動。
そして振り向く。
無言。
圧。
「にゃー!」
「強い」
俺、立ち上がる。
「まだです」
エルちゃん、俺の足首にカプ。
「痛っ」
「抗議強め」
まる、笑いながら棚を開ける。
その瞬間。
エルちゃん、瞬間移動。
袋に頭突っ込む。
「待て待て待て」
「まだ量決めてない!」
エルちゃん、袋を倒す。
フード散乱。
「うわあああ」
「戦場」
エルちゃん、床に落ちた粒を高速回収。
「止まれ!」
まる、慌てて抱き上げる。
エルちゃん「にゃー!!!」
抗議最大音量。
「近所迷惑レベル」
俺、床を回収。
「まだ三分前だぞ」
時計を見る。
17:59
「ほら」
「もうすぐ」
エルちゃん、まるの腕から脱出。
再び棚へ。
「執念」
18:00
ピッ(電子レンジの時計音)
「はい」
まる、正規量を皿へ。
エルちゃん、即座に静かになる。
無言で食べ始める。
「切り替え早い」
「さっきまで革命だったのに」
静寂。
ただの食事。
俺、床を掃除しながら言う。
「三分前から暴動起こすのやめてほしい」
エルちゃん、食べながら俺を見る。
カプ(空振り)
「なんで俺」
まる、笑う。
「たつくんが時間守りすぎなんだよ」
「守るだろ」
「王様基準は体内時計」
食べ終わる。
エルちゃん、満足そうに喉鳴らし。
そしてベッドど真ん中へ。
完全勝者の顔。
まる、床に座る。
「今日も戦ったね」
「毎日戦争」
エルちゃん、ちらっと俺を見る。
「にゃ」
「何」
「たぶん“また明日”」
まる、吹き出す。
「三分前からね」
俺はため息。
「インフラより厳しい運用」
エルちゃん、最後に俺の足を軽くカプ。
「痛い」
承認完了。
夜は平和。
王様の腹は満たされた。
世界はそれで回る。
