第一九話『王様とホットドック』

夜。

テーブルの上。

IKEAのホットドック。

紙ナプキン付き。

「久しぶりだね」

まるさんがうきうきしている。

「安いのにうまい」

俺は一本持ちあげる。

ケチャップとカスタード。

完璧。

エルちゃんはベッドど真ん中

だが。

鼻がひくっと動く。

空気が止まる。

「……」

「どうしたの?」

「来る」

エルちゃん。静かに降りる。

足音無し。

テーブル下へ。

「匂いバレた」

まるさん、ホットドッグを守る姿勢。

「だめだよ?」

エルちゃん、俺の膝へジャンプ。

重い。

じっとホットドックを見る。

「だめ」

「にゃ」

低い。

俺は一口食べようとする。

その瞬間。

前足ぺち。

ホットドッグ揺れる。

「やめろ」

カプ。

俺の手。

「痛っ」

「”それ寄越せ”だな」

まるさん爆笑。

「完全に狙われてる」

俺は持ち直す。

二口目

今度は素早い。

エルちゃん。ソーセージ部分を

がぶっ。

「おい!」

一瞬で半分消える。

まるさん。声を出して笑う。

「たつくんのだけ狙った!」

エルちゃん。床に着地。

もぐもぐ。

「それ猫用じゃない。」

俺、呆然。

「俺の」

「王様優先」

まるさん、自分のを守る。

「こっちは守る」

エルちゃん、すでに次を狙う目。

「にゃー」

強い。

まるさん、ホットドッグを背中に隠す。

エルちゃん、机の上にジャンプ。

「うわっ!」

ケチャップ危機。

俺、エルちゃんを抱き上げる。

「終了」

カプ。

「なんで俺」

「”遅い”だな」

まるさん、涙出るほど笑ってる。

「たうくんの完全に取られた」

俺は残骸を見る。

パンだけ。

「パンだけいらん」

エルちゃん、満足顔。

喉鳴らし。

「にゃ」

「”うまかった”だな」

まるが自分のを半分ちぎる。

「ほら」

「なに」

「半分あげる」

少し間。

エルちゃん、じっと見る。

「お前はないぞ」

エルちゃん、俺の足をカプ。

「痛い」

「抗議だ」

まるさん、笑いながら言う。

「次から三本買おうか」

「一本は王様用か」

エルちゃん、ど真ん中に戻る。

完全勝利。

俺はパンをかじる。

「俺のホットドッグ」

まる、肩をすくめる。

「中央政権には逆らえない」

夜は静か。

ケチャップ少し床。

王様満腹。

俺は学習した。

次は3本買おう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です